こんにちは、
企業の重要な役割の1つとして
株主への利益還元が挙げられますが
近年流行りの株主還元手段が
「自社株買い」です。
その名の通り企業が自社の株式を
市場から買う行為であり、
株主に企業の利益を還元する手段の
1つとなっています。
この自社株買いの規模は
年々大きくなっており、
2018年度に実施された
自社株買いは6兆680億円。
2019年度も10兆円に
迫る見込みです。(三井住友AS調べ)
これがどのくらいの規模かというと、
日銀が買い入れているETFの総額が
毎年6兆円程度なので、それを凌ぐです。
なぜ、自社株買いがされるのか?
自社で買う=株価は上がるのか?
当ページで解説していきます。
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目次
自社株買いの仕組み
一般的に、自社株買いは
株価の上昇材料として認識されています。
株式が買い戻されることによって
株式市場に流通する株式の総数が減少しますので、
✓ 株式の希少価値が上がる
✓ 株主が保有する株式の保有割合が上昇する
というメリットがあります。
世界3大投資家の一人、
ウォーレン・バフェット氏が保有する
投資会社 バーク シャー・ハサウェイも、
2018年7-9月に約10億ドルの
自社株買いを行ったことが話題になりました。
引用:ブルームバーグ
実際に、自社株買いを行うことによって
短期的に株価が大きく動くことがあり、
100%ではないにしろ、
会社が自社株買いによって株価上昇を
目論んでいるようなケースも存在します。
ただし注意点としては、
長期的に見た場合に大きな利益還元になるか?
疑問符が付くことです。
企業活動という面で考えれば、
今ある利益や資金を次の事業のために再投資する
↓
投資した事業でさらに利益を出す
↓
増えた利益を株主に還元する
という流れが本来望ましいですが、
自社株買いをして株主還元をしてしまうと
設備投資や研究開発などに資金が充てられず、
会社の長期的な成長が抑えられるという
可能性もあるからです。
なので、その後株価が長期間上がっていく
場合があったとしても、自社株買いは
「短期的に」株価上昇に効果があるもの。
よって、長くても1年くらいの
スパンで売買を考えるのが良いかと
個人的には考えています。
なぜ、自社株買いで株価は上昇する?
自社株買いで上昇するのは、
発行済み株式数の減少によって、
ファンダメンタルズ指標が改善され、
結果、買われやすくなるからです。
代表的な指標が、PBR(株価純資産倍率)。
本記事の趣旨から逸れるので詳しい説明は割愛しますが、
「PBR」の使い方をすごーーく簡単に説明すると、
値が小さいほど良いと言われる指標です。
PBR = 株価 ÷ 1株あたりの株主資本
ですので、
株価2000円 株主資本40億円
発行済み株式数100万株だった場合、
PBRは、、、
2000円 ÷ (40億÷100万=4000)= 0.5倍となります。
これが、自社株買いで20万株買われたとしましょう。
発行済み株式数が、80万株に減るという事です。
よって、
株価2000円 株主資本40億円
発行済み株式数80万株だった場合、
PBRは、、、
2000円 ÷ (40億÷80万=5000)= 0.4倍となります。
このように、自社株買いをすることで
PBRが小さくなり、割安感が出ることで
株が買われやすくなります。
もちろん、元からPBRが高すぎて
ちょっと改善したくらいでは厳しいので、
出来れば割安と言われる1未満のPBRが
さらに小さくなった場合の方が狙い目ではあります。
なお、PBR以外にも
ROE(自己資本利益率)やPER(株価収益率)も
同じように改善されます。
ただし、利益ベースでの計算は
その期、その年によって変動したり、
特別損益の計上でも大きく変わるので、
PBR重視の方が確実だとは思います。
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自社株買いを狙うタイミング
株価に大きなインパクトを
もたらす自社株買い。
会社が発表したタイミングも重要です。
特に「株主総会前」のタイミングでの
自社株買い発表は、企業としても
プラス材料を出すことで
株価を何とかして上げたいという
思惑が見受けられることがあります。
年に一度開催される、株主総会。
3月決算の企業であれば、
株主総会はおよそ6月下旬です。
その時期が近づきますと、株主総会を意識した
プラスの発表がしばしば見られます。
実際、株主総会が迫った1~2か月前の時期に
自社株買いを発表した企業の株価は上昇しやすく、
この時期の「自社株買い発表」は見逃せません。
【6758 ソニー】
2019年5月16日に自社株買い発表
その後、7か月で+40%
【8253クレディセゾン】
2019年6月7日に自社株買い発表
その後、半年で+67%
【8604 野村】
2019年6月18日に自社株買い発表
その後、半年で+64%
ちなみに、自社株買いが発表された
タイミングでは株価は大きく上がってしまい、
直後に下げるケースもあります。
なので、自社株買いの
発表直後に買いに行くのではなく、
自社株買い発表後に株価を下げた後に反発し、
自社株買い発表前の株価水準に
戻ってきているタイミングを狙うと
やりやすいと思います。
※自社株買いをした、だけを売買理由にしないこと
※出来高・売買代金を伴っているかも重要です
自社株買いなら何でもいい訳ではない
ただし、自社株買いなら
何でも上がるわけではなく、
以下の特徴に当てはまる自社株買いは、
プラス材料視せずに、注意してください。
① 市場買い付けではなく、市場外である
市場を通さないと株価が動きづらいためです。
この例外については
後日、別の記事でもまとめたいと思います。
② 発行済み株式数の2%未満
発行済み株式数の最低でも2%以上は買い付けないと、
株価へのインパクトは少ないです。
③ 発表後、いつまでたっても買わない
自社株買いを発表した会社は、その買付期間に
定期的に 「自社株買い発表後、現在どれくらい買っているのか」
進捗状況を公表するのですが、
たいてい「買い付ける株式の総数(上限)」を書きつつ、
発表後に必ずその数量を本当に買うとは限りません。
そのため、稀ではありますが
自社株買い発表
↓
株価が上がる
↓
いつまで経っても自社株買いをしない
↓
取得期間終了、結局、自社株を
買い戻した数量は0株
という会社も存在します。
信じられないかもしれませんが。
わかりやすく言えば
「株主還元するする詐欺」ですね。(笑)
このようなことをする会社は
企業体質的に信用なりませんから、
そもそも投資対象 として除外です。
④ 時価総額が100億円未満
単純に値動きが不規則になりやすいです。
時価総額100億未満はダメ!と
決めつける必要はありませんが、
ある程度規模があった方がいいのではと思います。
逆に時価総額が大きすぎると、
株価が高いか発行済み株式数が多すぎるので、
自社株買いの影響が限られる場合もあります。
なので、時価総額と自社株買いの
バランスを見るようにしましょう。
また、日経平均株価が下落しているような
タイミングだとつられて株価が下落しやすいため、
全体地合いには注意してください。
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まとめ
本日の記事は以上となります。
長引く低金利&増配の負担から
今後も自社株買いは増えていくと思われます。
自社株買いで株式数を減らせば
その分配当金総額が減り、
借り入れが増えても、低金利なので
負担としては大きくないからです。
自社株買いが頻繁に行われば
今ほどインパクトはなくなるかもしれませんが、
株式の希少性という面では影響があります。
上がる!と決めつけはいけませんが、
トレードの参考材料としてご活用ください。
それでは。